医師専用ページです。
一般の方が読まれても、わからないと思います。
 
大腸ファイバースコープ挿入テクニック講座

少し押し込む挿入法

直線化挿入法
現在ある大腸内視鏡挿入法は、理論はあるが技術論がない。
どんな技術も「こつ」があり、その「こつ」を、詳しく教えてもらえ
れば、技術の習得は早くなるが、大腸内視鏡挿入法に関して
は、その肝心な「こつ」は、自分で試しながら、各自で習得して
行くしかないのが現状である。このため、順序立てた修練を積
めば、上達するという道はない。この理由は何であろう。大腸
内視鏡挿入法の名人の先生方が、とても意地悪で、「こつ」を
教えたくないのだろうか。私はそうでは無いと思う。おそらく、
大腸内視鏡挿入法にあまりにも多様性があることがその理由
と考えている。教える立場の先生も、具体的な指示、たとえば、
90度右に回転して、1.5cm引き戻すというような指示を出す事
は不可能で、ファイバーを実際に持って、こんな風にとしか教え
ようが無いと思う。
 ところで、この大腸内視鏡挿入法の多様性の主な要素は何で
あろうか。もちろん、患者さんの側の多様性は解決不可能なの
であるが、大腸内視鏡挿入法上の要素として、私は、2つ考える。
1つは、「送気・送水やファイバーを押しこむ操作で、腸管を拡張・
伸展させること」であり、もう一つは「ファイバーによる腸管のルー
プ形成操作」である。これらは、元来、自然の状態では患者さんの
大腸にない要素を、ファイバースコープ時の視野確保という理由で、
付け加えたものである。大腸内視鏡挿入法の名人といわれている
先生方は、大腸の拡張・伸展調整の名人であり、ループ解除の名
人である。しかし、名人の先生の方法は、伝達不能のため、名人
と全く同じ挿入法を用いている弟子の先生はいないように見受け
られる。
 現状の挿入法では、この2つの大きな問題を解決し、素早い大
腸内視鏡挿入が可能になるには、少なくとも1000例以上の症例
を経験する必要がある。大腸癌の有病率が増加し、大腸内視鏡
挿入の技術者が求められている現状で、このような、曖昧な教育
しかできない挿入法では、技術者を多数育てることは困難である。
 ここで少し違う面から考えてみよう。大腸内視鏡検査時に、被験
者は、なぜ痛みを感じるかであるが、この原因は、腸管の過伸展
にある。先ほど述べた大腸内視鏡挿入法の多様性の2つの要素
は、大腸内視鏡挿入時に、被験者が痛みを感じる原因でもある。
この2つの要素が解決できれば、被験者が痛みを感じないように
挿入ができるようになる。
 以上のような背景で、5年くらい前より、送気をしない、ループ形
成をしない、しかも教えられる挿入法を試し始めた。
 
この挿入法は、今までの分類から行けば、無送
気、無フード、無腹部圧迫、軸保持短縮法という
カテゴリーに入ると思われる。

 少しずつ改良しながらであったが、初めは、RSまで、それから徐
々に深部へと開発してきた。この方法は、多様性が少ないため、同
じ原理の繰り返しで、内視鏡挿入が可能である。1つの襲の越え方
が理解できれば、そのほかの細かなテクニックは、繰り返しのなか
で、自然に身に付いてくる。現在は、この方法で、盲腸まで行くこと
は可能だが、脾攣曲からは送気した方が時間的に早いので、とりあ
えず、S状結腸を通過するまで、この方法を使用している。さらに、こ
の方法が理解できれば、少し送気すればまさに軸保持短縮法になる
ので、横行結腸より深部への挿入が楽になる。
 ここで強調しておきたいのは、今までの挿入理論は、決して不要な
ものでは無く、送気して観察したり、ポリープをとるために視野を確保
したりする時や、挿入困難例には必要なので、常識として知っておく
必要がある。
コロンモデルを使用したデモビデオ
CF挿入の画面ビデオ画像が悪いので小さくしてご覧ください
今後は、YOUTUBEで情報発信したいと思います。
質問はメールでどうぞ。